読書メモ 小川忠『インドネシア;多民族国家の模索』岩波新書(1993)

 著者の小川忠独立行政法人国際交流基金職員。1989年4月から1993年1月まで国際交流基金ジャカルタ日本文化センター駐在員としてジャカルタに生活した際の体験に基づいて、主にインドネシアの文化人との交流を通じて見たインドネシアの社会・文化・歴史・矛盾などを伝える。どうしても交流の性質上、<男の付き合い>とでもいうべきか、生活感が薄く、世界最大のイスラム人口を有するインドネシアということでどうしても目が向く女性の立場などは見えてこないところはある。そこは著者の仕事柄もあるだろうが、どうしても観光ガイド的な文化紹介に偏ってしまうのは、やはり90年代前半という時代の反映もあるように思える。