イマジンゼアーズノーへヴン

 Madonnaのドキュメンタリー、"I'm Going to Tell you a Secret"を視ました。このひとは、変わらないですね~。かわいらしい小動物系。"In Bed With Madonna"の頃は、は本人にとってあんま振り返りたくない時期みたいですが、MAdonnaのスタンスもそんなに変わっているようには見えません。世間のイメージほど昔のMadonnnaは非常識な人間ではないし、現在のMadonnaも悟りきってはいない。このひとは一貫して真剣に生きてきています。

 構成がよく似てて明らかに前作を意識したつくりに見えるし、やはり<あの頃>との対比はかなり意識している様子。客観性という意味では前作"In Bed With Madonnna"の方が優れているように感じますが。若く、混乱していた以前と比べ、現在のMadonnaは伝えたいことをひとつの定着した表現で提示する方法を手に入れているし、その分無条件に共感できる度合いは少なくなっていますが、本来Madonnaが求めるのは同情ではなく、理解なのですから、確実にかの女は表現者として成熟しています。

 ただ、やはりどうしてもMadonnaの住む世界は「ひとつの神、ひとつの夢、ひとつの理解」に支えられたものであり、最後にイスラエルを訪問するシーンでは破りようのない認識の壁を感じました。PVにおいてMadonnaユダヤ教徒イスラム教徒の子供が握手するシーンを描きますが、来た仕事とはいえ、『007』で異星人のような北朝鮮人に唾を吐きかけるのとそれは両立するのでしょうか。同じ聖典の民、という意識からは、現状を打破するような本当の破壊力は感じ取れません。

 かの女がJohn Lennonの`Imagine`を唄うとき、「天国も無く、宗教もない世界を想像して」とどんな気持ちで口にしているのでしょう?残念ながら、かの女の天国には世界の半分が抜け落ちており、僕も住むことができないように感じ、淋しい気がします。