まいとれーやってなんや?

2年ほど前からかな?地下鉄の駅に「ベンジャミン・クレーム」なるひとの名前が入った講演会の広告が貼ってあるのをよく見かけるのですが・・・・。ちょっと読んだだけでは世界教師やらUFOやら妙なフレーズが出てくるが、結局何をいいたいのかよくわからない。

調べてみると早い話がシェア・インターナショナルというカルト。マイトレーヤ弥勒菩薩)が既に再臨している!とか説いているらしい。

まぁ、まとめるのもめんどくさいんですが、公式HPさんによりますと、
すべての宗教は偉大な教師の到来を――キリスト教徒はキリストの再臨を、ヒンズー教徒はクリシュナの再生誕を、ユダヤ教徒はメシアを、仏教徒マイトレーヤ仏陀弥勒菩薩)を――待っています。これらはすべて、同一の個人で、世界教師であり、聖パウロ仏陀が、「天使と人間両方の教師」と呼んだ方、すなわち、マイトレーヤのさまざまな名前です。
なんだそうです。本地垂迹説の頃からまったく宗教のひとたちの論法というのは進歩がないですね。

要は1977年7月7日にこのマイトレーヤだかなんだかさんはインドで出現して、8日パキスタン経由で19日にロンドンに入られたそうな。1977年7月7日は単なる7777で縁起担ぎとして、その後の行程が何でこんなに具体的なんだ?って感じがしますが、後から実はマイトレーヤさんはクレームさんだ!とかなる伏線なのか、それともリアリティを出すためなのか、まぁとにかく超越的存在にしてはえらく行動が鈍いですね。

この手のニューエイジカルトを見ていていつも思うんですが、そんなに世界各地で生活したことがあるのなら、そのマイトレーヤさんとかいうのは、少なくとも古代アラム語や古代インド語を当時のままに話すことができるはずではないでしょうか。そもそも弥勒菩薩の呼び名にしたって、当時はマイトレーヤなんて発音はしなかったと思うのですが、彼はそれを正確に発音できるのでしょうか?今までの麻原彰晃さんやら大川隆法さんやらの例を見ていると、どうもそういう突っ込みを入れられると突如としてう~んう~んと唸りだしたりして、あまつさえ悪鬼よ去れとか突っ込んだ方を毒物扱いされるのがオチだと思えてしまいます。いえ、決してこのマイトレーヤさんもそうだと極めつけるつもりはありませんが(笑)。

大体、こういうニューエイジ系では、よく知識人を自称する信者が、「初めはありとあらゆるところを疑ってかかったが、どこにも破綻を見つけられなかったので信じざるを得ない」などと発言していますが、こういう方たちは一体全体どういう方面でもって検証をされているのかさっぱり分かりません。同じことは歴史修正主義なんかの自称学者さんたちの言にもいえますが。

残念ながら、こういった<事実をひっくり返す>ような言説や現象に、実証されたあるいは非常に確からしい学術の手にかかって、破綻しないようなものはまずあり得ないと思います。これに対抗するために用いられるあちら様の最後の手段が昔神様今UFOなわけですが、こういった不可知論にしか行きつかない概念を持ち出したとしても、説得力を得るためには依然として、彼ら自身が「私は神の声を聞いた」、「UFOに乗った」、「異星人と対話した」などと実証(他人にそれと確認できないので実証になってませんが)を持ち出さざるを得ないのですから(あのイエスどんだって奇術を披露せざるを得なかった)、まぁあちら様の方が苦しい。こっちがオタオタする理由はないわけです。

積極的に信じたいという人に関しては、その心理もわからないでもないので批判する積りは毛頭ないのですが、私は実証主義者です、という顔をして語る人は性質が悪いと思います。多分わかっててやってる、確信犯なんだろうな~、と感じてしまう。

しかしまぁ、公共交通機関でカルトの広告貼るなよ、とはいいませんが(新聞とかTVもかなりやってるし)。お金をもらって引き受けるなら、せめてもうちょっとご新規の迷える子羊さんたちにもこれこそが私の求めるもの!とわかりやすいようにアドヴァイスしてあげてはどうなんでしょうか。それとも迷える方々にはああいう書き方の方がびびっときたりするのかな。