いにゃんばかーんな日々

 猫と人間の関係は、極めて高度なSMの精神性をもつ。

 犬との関係においては、このような対等な関係が築かれることはない。

 なんだ貴様は!(イエッサー!)卑屈になるな!(イエッサー!)調子に乗るな!(ダリーんだよ!)

 このように犬は決して人間に心を開くことはないのである。

 どのような責めも、猫と人間のあいだにおいては遺恨を残すことはない。

 うーりうりうり、気持ちいいか、だらけきった豚めぇ、そーれそれそれ なでなでなで。

 (ぷっつーん、ばりばりがり)いってぇ!!

 猫は人間の手をばりばりと掻き毟る。その目からは理性が消し飛んでいる。鋭い牙は肉に食い込む。猫
と暮らすものの身体に生傷の絶えることはない。

 猫は三歩歩けば何してたのかも忘れるのだという。それでもいいではないか。猫とのあいだには、赦しもいたわりも慰めも存在しない。ただかれとわたしがあるのだ。