萌えについてのいちこうさつ

皆さん、萌えてますか?


萌えはとても大切なものです。萌えは記号への愛です。ほしの記号は愛です。記号がなければ、お金の単位も曖昧になって、八百屋さんは野菜を売ることができなくなり、距離も測れなくなるのでタコメーターがむくれて車も前に進めません。タクミちゃんがトーフを配達するのに困ってしまうではありませぬか。

萌えがなくなると、僕は僕を型にはめることができないので、不定形生物バチルスになってしまうかも知れない。不定形になると服が着れなくて恥ずかしいので困ります。

だからみんなもっと萌えを大切にしよう。萌えは自分勝手にいぢりすぎると死んでしまいます。萌えは寂しがりやでちっちゃいものだから。やさしく、こころを込めて、いい萌えを育てようよ。
                                            
                                            み○お


<萌え>ということばが一般に市民権を得たのは結構最近のようですが、いわゆるオタク系ではかなり古くから使われていましたし、勿論現在の<もえちゃん>という名前の女性の年齢とその数からすると、名前としての流行はオタク文化が定着するかなり以前から存在していたことが推測できるわけです(ちなみに、オタクの<萌え>は、昔NHKでやってた子供向け料理番組かなにかに出ていた子役の役名から来ている・・・、らしいです)。

その中でも、現在の<萌え>に比較的近い用法で用いられた最初期の例と思われるのは、現在白泉社から出ている、絵本雑誌『MOE』ではないでしょうか。

もともとの出版社のMOE出版は親会社の偕成社に整理されて(MOE出版は偕成社から独立してできたのでそれ以前は偕成社発行)、白泉社が1992年から引き継いで出しているようなので、調べてもオリジナル『月間MOE』がいつから発行されていたのかは判明しませんでしたが、ますむらひろしの『アタゴオル玉手箱』なんかが載ってた『MOE』の漫画増刊である『コミックMOE』は1980年代半ばから出ていたようなので、少なくともそれ以前からはあったのは確かなようです。

そもそも、『MOE』という雑誌名の由来は、当初この雑誌が妖精絵や子どもの絵で有名な(らしい)永田萌という方のイラストを中心として編集されていたかららしいのですが。

いずれにせよ、雑誌の内容から見て、お母さま方がちっちゃな子を見て「かわいいわー」とキューンとくるジャガーさんな感情にジャストフィットする雑誌名に(はからずも)なっているのは間違いないと思うのです、ええ(力説)。

うら若きお母さま方が子ども見て心のなかで「もえーっ!」と叫んでるのを想像するのは大変楽しい、もとい失礼な感じですが(笑)、オタクとお母さまがたは深層心理でつながっている、世の中とは往々にしてそういうものかも知れない、と思ったり思わなかったり。