ビューティフル・エイティース?

 90年代半ばに70年代リバイバルブームが起きたときに、マドンナが雑誌のインタヴューで

「今はみんな忘れたい過去だと思ってるけど、きっとそのうちまた80年代がヒップだってことになるわよ」

 というようなことを語っていたが、確かにマドンナ自身がアルバム"Confession on the Dance Floor"(2005)で<新しいエイティース>を示して見せたように、80年代は再評価を得た(むしろ流行は既に<90年代リバイバル>に移りつつある観もあるのだが(TT)。

 80年代に子供時代を過ごした僕にとって、特に印象に残っている80年代後半から90年代半ばにかけての10年ほどが最近特に見直されているようで、今の20前後のひとたちが僕の読んだり聴いたりしてきた漫画や音楽をよく知っているのは何だか不思議な感じがするのだが、特に子供文化に関しては、今テレビに出ている勢いのある芸能人の多くがこの頃に育っているせいで、もっと若い層にもそういった知識が伝わっているということもあるのだろう。

 しかし、90年代初めのグランジブームなんかの頃は、80年代は空っぽな時代だった、と酷評されまくってたのに、いまやカラフルな宝の山の時代だったような印象さえ受ける。

 振り返ったとき過去を楽しく思えるというのは、いいことには違いない。空っぽでひどい時代に思える現代も、5年か10年後にはおそらく「サッカーはジダンがいて、野球は松坂、漫画は『デスノート』なんか熱かったなぁ。『セカチュー』とか『電車男』とか。倖田來未もあのころはばりばりエロカワ路線で良かったなぁ。何か、いい時代だったなぁ」なんて思い出されるのだろう。