どんな大富豪にも世界は買えない?

昨年の調査では世界の資産100万ドル以上の富豪は1000万人以上存在し、その資産総額(全員の資産の合計額)は約10兆7000億ドル(約960兆円)だったらしい。

単純計算で、この資産を100万ドルずつ分けて再分配するとするしても、1700万人にしか増えず、昨年統計の世界人口約69億人の1%にも満たない。

2006年の記事だが、こちらのブログで書かれているところによると、世界に存在する総資産は推計1京4368兆円で、世界総人口の1%がその40%を占有しているということだが、この金額のまま計算すると、2010年段階で計算すると0.2%程度の富豪が占有している資産総額は10%弱程度ということになり、計算が大幅に合わなくなる。統計方法の違いなのだろうか。

それはさておき、もし世界の総資産を100万ドルずつ分配したとしても、やはり2億人前後にしか行き渡らず、総人口の3%弱にしかならない。1万ドルずつ分配したとすれば200億人分となり、単純計算で一人当たり1万ドルで1年間生活したとしても3年弱で資産は底を突く計算となる。

ただし、当然69億人の資産100万ドルが動くという事は通貨はただ目減りしていくのではなく流通し巡っていくこととなる。この循環の中で血栓となる要因、ひとりで何人分もの資産を潤沢に留保し続ける者が存在しないという前提(例えば全貨幣を3年間の時限通貨とする)に立てば、世界の全人類がそこそこ安定した生活を継続するのに十分な貨幣総量が存在するということが可能かも知れない。

ただし、この試算は今後世界の人口が増え続けることを考慮していないし、なにより肝腎の資源を考慮していない。すなわち、現時点で世界人類がそこそこ安定した生活を送れるだけの生活費を得たとしても、資源が行き渡らずインフレを起こし経済が破綻する可能性があるのだ。

すなわち、現在の世界の総資産量は、もし世界のそれを総人口に均等割りした場合に破綻しなければ妥当すなわち人類は実はそこそこ豊かである、破綻する場合は過多、すなわち実際には人類はもっと貧しい、といえるのではないだろうか。

もしも現在の人類の資産総額が過多、水増しされた状態であるとすれば、世界の富豪たちは不当に架空の価値を再生産し続け、他者の資源を騙し取っているということになる。

僕は、金本位制の破綻の時点で、既に世界の資産はこの水増し水増しのスパイラルに陥っており、現在の経済は実際には超インフレになっていても不思議でない状態になっているのではないかと予想していたのだが、実際に考察してみるとそう簡単には結論付けられないようだ。

結論

世界の資産をすべて集めた大富豪であれば世界は買えそう。ただしその後それを維持できるかは別の問題。



・・・・勿論食糧生産量はともかく、流通(輸送)コストを考えると全人類が僕の想定した<そこそこ>の生活を送れるようになるとはとても思えないが、全世界の資産総額といっても、世界の富豪が1000万人のうち米国、日本、ドイツ、中国の4国で半数以上を占めているそうだし、世界の総資産もいわゆる先進国が大半を握っていると考えられる。もしその先進国のみを考慮に入れるとすれば、途端に先進国国民は実は充分以上に富んでいる、ということになるだろう。

つまりどういうことかというと、世界同時社会主義革命は無理でも、一国社会主義は存外間違った考え方でもない、というのが本当の結論になるのかなぁ・・・・(笑)。


参考にした記事
アジアの富豪、資産総額で初めて欧州を抜く=中国の富豪数は世界4位―英紙


2010年06月24日23時35分
提供:Record China

アジアの富豪、資産総額で初めて欧州を抜く=中国の富豪数は世界4位―英紙
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23日、アジアの富豪が保有する資産総額が初めて欧州を追い抜いた。また、中国の富豪の数は47万7000人に達し、世界第4位となった。写真は4月、北京モーターショーに登場した金龍リムジン社製の「移動豪華サロン」と名付けられたリムジンカー。
2010年6月23日、英紙フィナンシャル・タイムズによると、アジアの富豪が保有する資産総額が初めて欧州を追い抜いた。また、中国の富豪の数は47万7000人に達し、米国、日本、ドイツに次ぐ世界第4位となった。環球網が伝えた。

メリルリンチとキャップジェミニが、資産100万ドル(約8900万円)を超える投資家を対象に調査を実施。それによると、アジアと欧州の富豪の数はいずれも300万人を超えた。また、アジアの富豪が保有する資産総額は9兆7000億ドル(約870兆円)で、9兆5000億ドル(約850兆円)の欧州を初めて追い抜いた。

08 年のリーマンショックでは大きな打撃を受けたが、09年は株式市場の回復に伴い、世界の富豪の資産総額は19%増の39兆ドル(約3500兆円)に達した。富豪の数は北米が最も多く、09年末時点で310万人、資産総額は10兆7000億ドル(約960兆円)に上った。世界の富豪の数は1000万人に達し、米国、日本、ドイツの合計がそのうちの半数を占めた。中国はこれに次ぐ第4位で47万7000人だった。

記事によると、インドの台頭も目立った。09年は富豪の数が50%以上も増え、12万6756人。英国は24%増の44万8000人で、ロシアも11万8000人にまで増えた。一方、ドバイ・ショックの影響でアラブ首長国連邦の富豪の数は19%も減少した。(翻訳・編集/NN)