Gay Dad 'Joy!'(1999)

UK圏からはそれこそ星の数ほど新しいギターバンドが出てきてはいつの間にかフェイドアウトしていくのだが、やはりそれだけ彼らがギターバンド好きであり、またThe Beatles以来の同国の主要な輸出産業にもなっているということだろう。
 
とはいえ、日本ではその人気が定着しているのは90年代以降でいえば、oasisU2Radioheadくらいだろうか。Coldplayも世界とは温度差があるように感じるし。
 
そんな訳で、当然のようにブックオフの105円コーナーには時代の徒花よろしく、USアイドルや北欧ポップグループと一緒にUKギターバンドのアクトの名前がズラズラ並ぶことになる。その中にはその扱いも納得できるような一発屋(そもそも活動期間が短い場合が多い)もあれば、ちょっとそこに並ぶのは可哀想、という実績のあるグループもいる。今後そういうアクトもちょくちょく取り上げていければと思う。
 
 
Gay Dad。アルバム2枚、メジャーデビュー(1999年)後3年で解散。
 
そのバンド名が耳に残るが、本国でもやっぱり企画モノ扱いされたらしい。サイケ・グラムロックと紹介されているが、それもThe Strokes以降のどきつい感じ(オリジナルの過剰化、行き過ぎたパロディ感)のあるものとは違い、飽くまでもUKロック、ブリットポップの範疇での味付けという感じ。その分クドくなく、気持ちよく入ってきて来る。初期Coldplayにも通じるようなダークでドリーミーな浮遊感もある。元々音楽評論家だったCliff Jonesがフロントマンだけあって、音楽的基礎教養の高さがかなり感じられる。やはり器用貧乏っぽさ聴き手にも伝わるのが商業的成功を収められなかった一因かも知れない。