ゴッドファーザー 愛のテーマ

 いやー、すごいことになってますね、イタリアカルチョ界。

 これって日本でいったらジャイアンツの審判操作、選手獲得に際する不正はばれるわ、ホークスのスパイ、ライオンズのダンピングに、カープやスワローズがジャイアンツに買収されての八百長発覚とか、マリーンズの選手にドーピング疑惑やら一挙に全部明るみに出たような大騒ぎだと思います(これは飽くまでも例えですので別に他意はありません。特定のチームが三回出てきてるようですが気にしないで下さい(笑)。)。

 日本ではあまり大きく報道されてないようなので一応説明させていただくと、要するにイタリアフットボールリーグ一部セリエAの強豪クラブ、ユヴェントスのゼネラルマネージャーが、試合が自クラブに優位に進むように審判を買収したり脅迫、あるいは自クラブの選手獲得が有利に進むように、獲得を狙った選手に病気を偽らせたりわざと監督と対立するような行動をさせたりしたことが、官憲が過去2年間に渡って行った電話の盗聴の通話記録により暴かれたのに端を発して大騒ぎになり、ゼネラルマネージャーは辞任、ラツィオフィオレンティーナといった名門クラブもこの不正に関わったとして追求され、更にインテルミランなどにも不正があったのではないかと操作の手が伸びている、という事態です。これにウディネーゼなどの選手による不正賭博操作も絡んで、もうわやくちゃですな。賭博で追及されている選手の中にはユヴェントスのGKブッフォンウディネーゼのFWイアキンタなどの国代表クラスが含まれ、ユヴェントスによる不正な操作を受けて移籍した疑惑のかかっている選手も、イタリア代表DFファビオ・カンナヴァロスウェーデン代表FWイブラヒモヴィッチと有名選手が含まれます。

 今回発覚したユヴェントスによる不正は、発覚以前から疑惑を持たれていたものばかりです。国内リーグユヴェントス戦でのおかしなジャッジは日常茶飯事でしたし、ユヴェントスが獲得を選手がなにか因果を含まされて急に奇妙な行動を取ったりするのもほとんど公然の秘密でした。

 それがこれまで大きな問題にならなかったのは、ユヴェントスのイタリアフットボール界での大きな政治力、小クラブの多くがユヴェントスの影響力に依存する部分があったためであると見られてきました。

 実際問題として、いまだにスポーツの世界ではこの類の不正が半ば公然とまかり通っている事実があります。フットボールの世界でも、頭のFIFAをはじめ、スペインのレアル・マドリー、ドイツのバイエルン・ミュンヘンなど、この手の黒い疑惑、噂には事欠きません。ファンも、ほとんど諦めて受け入れているのが実情でしょう。

 そんな中、公権力が介入して白日の下に晒した大スキャンダル、はじめは快哉を叫んだ他チームのファンも多かったと思いますが、疑惑が周囲にまで拡大、また不正の実態が明らかになるにつれて、イタリアプロフットボール界存続に関わりかねないところにまで発展してしまっています。

 手向かったクラブは降格寸前のところまで陥れ、相手が頭を下げて仲間に入れてくれと頼んで来させる、ユヴェントス戦の不正なジャッジやドーピングの疑惑を糾弾した監督は所属クラブ上層部に圧力をかけて職を奪う、と、ユヴェントスGMモッジによるマフィアそのものの脅迫の手口には、さすがイタリア、と妙に感心してしまうほどです。

 こういうことを日常的に繰り返していながら、マフィア映画の主題歌に「愛のテーマ」というのはすごい感覚ですなあ(邦題だけど)。まあ、公的正義より、身内の利益が真の正義っつうのが共通認識なんでしょうか。そう考えると大昔から続く統一政府と地方有力者の権力闘争の流れにあるのかと妙に納得します。

 でも、日本でも一度くらいこれくらい徹底的に膿出しをして欲しいですね。特に某プロ野球とか(やっぱりそれかい)。