白い壁から

 BABYSHAMBLESの"Down In Albion"。元?THE LIBERTINESのPeter Dohertyによる、実質的なソロ・プロ

ジェクトです。


 THE LIBERTINESが出てきたときは随分騒がれましたが、THE CRASHのMick Jonesがプロデュースした影

響なのかはわかりませんが、全体にポップにきれいに仕上げすぎている感じで、当時最先端とされていた

The StrokesThe White Stripesに比べても一昔前の音づくりに感じられ、良さがあまりわかりませんで

した。


 セカンドアルバムは試聴しただけですが、殆ど一発録りだっただけあって、逆にユルユル過ぎる感じで

した(すいません、文句ばっかで)。


 そういうわけで、THE LIBERTINESは気にはなっていましたが手に取ることのないままに空中分解してし

まったバンドだったので、惜しいなあ、という思いがあり、このBABYSHAMBLESが出たときも、「まあバン

ド人間のソロプロジェクトがバンドの作品を超えることなんてないんだけどなあ」と思いながらも試聴し

て見ました。


 で、その時の感想、ドラッグに溺れて人格崩壊しかけたPeter Dohertyのアルバムだけあってやっぱり

トータルクォリティ的には?なんですが、THE LIBERTINESのふたつのアルバムに比べても、このアルバム

THE LIBERTINESというバンドの実質に一番近い面が出ているのではないかと思えます。非常にポップな

メロディをルーズさとスリルの同居したパフォーマンスによって不穏なものに変質させてしまう、197

7年当時のパンクが持っていたであろう凄まじいかっこよさと同質のものがが2曲目の'Fuck forever'な

どから窺い知れます。全体的にはただの才能の浪費みたいな曲が多いのは確かですが。


 Peter Dohertyというひとを個人的に知っているわけでは当然ないので、かれの人生にどうこういうこ

とはできないのですが、その美しさをただ急いですり減らしていくことしかできない類の才能を持ってし

まったひとがどんどん駄目になっていってしまうのは、止めようがないとわかっていても辛いものですね