欲望という名の電車

 1951年劇場公開、アメリカ作品。主演ヴィヴィアン・リー マーロン・ブランド キム・ハンター



 ニュー・オリンズには昔は本当に「欲望(Desire)」という名前の路面電車が走っていたらしい。だから、主人公のブランチが初めから変なことを口走っているわけではない、ようです。

欲望という名の電車に乗って、墓場という駅で乗り換え、極楽まで行きたいの」という有名な冒頭の科白ですね。全部実在の通りの名から来ているそうな。僕はこの科白くらいしか知らなかったので、はじめっからばりばりの前衛劇なのかと思ってましたが、案に相違してリアリスティックな描写。サタデーナイトライヴでおちょくられてたイメージとも異なりましたw。

 テネシー・ウィリアムスの戯曲は後は「ガラスの動物園」のスクリプトを読んだことがあるくらいですが、どうも苦手ですね。ん~、何か痛いというか、身につまされるというか・・・・・・。世の中を極限までクラ~く見てるよう。もうちょい楽天的でもいんじゃないのかなぁ・・・・・・。演出的には女優をどんどん追い詰めていくという意味で、ラース・フォン・トリアーのお爺さんみたいな感じだけど、テネシー・ウィリアムスは作品に非常に自分の屈託が投影されてる分、痛み分が鈍く深い。まあ、アメリカの陰が描けている気がしますが、確かにこういった心性がテネシーのみならずアメリカの都会に住む人にはある程度共通して流れているからこそ、あんだけサイコセラピストが繁盛してきたんでしょう。

 この戯曲、日本の演劇界でも非常にポピュラーなようですけど、「ハムレット」とか、似た傾向のが好きですねぇ。意外とこういう極端なのの方が演じ分けやすいからでしょうか。