さようなら松坂大輔さようなら青春

 松坂投手のポスティング移籍が、色々な意味で大きな話題になっているようで、僕も一ファンとしてとても複雑な心境です。

 僕は松坂投手は好きですが、やっぱりどうしても選手ではなくライオンズというチームのファン、野球というスポーツやプロ野球パ・リーグではなく、ライオンズに興味があるので、大リーグに行った松坂投手をテレビ中継を見るなどして応援することはないと思います。松井稼頭央選手や森投手、デニー投手、小関選手のときもそうでしたし。それもあって、より高いレヴェルのリーグで松坂投手の投球が見ることができるから、と喜ぶ気持ちもありません(単純に大リーグのレヴェルが高い、といういい方も疑問ですが)。

 ただ、松坂投手個人の夢として、挑戦を叶えたい気持ちはわかりますし、ライオンズから出て行くからといって急に嫌いになったり憎んだりはしません。ファン感での最後の挨拶に象徴されるように、松坂投手のライオンズへの気持ちも恩知らずと罵るような筋合いのものではないし、逆にライオンズのことをそこまで思ってくれていたのか、と感じています。

 また一選手としても松坂投手は充分以上に六十億という金額に見合う価値を持った選手であり(選手を金で評価することやポスティングシステムの是非はともかく)、本来なら90億積まれようが120億積まれようが松坂投手の価値として納得できる金額には思えません。色々言われていますが、今回の移籍は、FAやポスティングが導入されて以後、一番遺恨や割り切れなさが残らないものになったと思います。球団、チーム、松坂投手がこれまでいい関係を築いてきた証でしょう。

 ただひとつ、もう今の松坂大輔を見ることはない、D-MATTかDAIか何になるのか知りませんが、これから松坂投手は大リーグで戦う大人になるのであり、これまでの高校時代の気持ちをずっと持ち続けているような少年の姿はもう消え去るのだろうな、と思うと、何かとても大事なものを失くしてしまうような喪失感があり、ひとつの時、ひとつの青春が終わるような寂しさがあります。松坂選手がいた8年間は過去のものになるのだと。

 これからのライオンズには期待感の方が大きいです。涌井投手、岸投手をはじめ、新しい人の台頭が楽しみだし、松坂投手というひとりの投手の確実な勝ち星が計算できなくなった分、チームみんながもっと力を結集して戦ってくれるものと期待しています。松坂投手にはこれからも活躍して欲しいですが、まずはライオンズ。来年も頑張れ、ライオンズ!