大麻産業化の是非

10月からたばこ税が上がり、元々喫煙者は減少傾向にあることもあって、煙草産業が今後相当逼迫していくのではないかと推測されます。

しかし、統計を見ると、これまでにもたばこ特別税導入以来1998年、2003年、2006年と値上げがあったにも係わらず1998年の販売代金が4兆円超なのに対し、 2009年で3兆5000億円超。税引き後販売額も1兆7500億円程度から1兆400億円程度と、イメージほどは減っていないですね。今回の増税は過去最大規模ですが、それでも1箱110円から140円程度となると、本当にアンケートで出ているほど従来の喫煙者がそんなに大量に煙草を止めるきっかけとするか(できるか)には疑問もあります。1箱1000円ならもう吸いたい人は月一回どっかに出国して免税店で仕入れてでもこないとやってられないってなことになったでしょうが。

しかしこのままいけばたばこ税は更に段階的に上がっていくことも考えられますし、いずれにせよ、多くの煙草の小売店や栽培業の方は仕事として成り立たなくなるのではないでしょうか。

僕は喫煙者ではありませんし、やはり気になるのはその辺りですね。独占企業のJT本体はどうなろうが知ったこっちゃありませんが、自動販売機製造メーカーさんなども含め、煙草産業に係わる人の数は決して少なくはないでしょう。本来、その辺もケアしながらこういうことは進めていかなければならないと思います。

個人的には、大麻産業を振興して煙草栽培農家に大麻栽培農家へ転向してもらうというのはどうかな、と考えていて、というのも戦前日本では大麻農家が大規模に営まれていたそうで、現在の煙草栽培農家には大麻栽培から転身したところも少なくないそうです。それが振興されていたのはひとつには太平洋戦争寺の資源確保の意味合いもあったようですが、かつて服が麻で編まれていたことからもわかるように、伝統的にも日本では大麻が身近な植物でした。

以前興味を持って調べたことがあるのですが、大麻は捨てるところがないというぐらい有用性の高い植物で、燃料としても優れているそうです。しかも寝ていれば育つというほど生育力が強い。毒性が強く、製造煙草に加工する以外に以外の使い道がほとんどない煙草に比べれば、かなり栽培するメリットの多い植物だと思います。

無論、これを進めるには大麻吸引への罰則の緩和も同時に行わなければならなくなるでしょう。

結局、こういった論は<為にする議論>の面もあることは否定できず、結局のところ大麻マリファナフリーの主張の正当化へのエクスキューズとして主張されているようで、牽強付会にも思えます(禁止する側の理屈も同じですが)。

大麻吸引は、煙草の喫煙や飲酒にくらべて、<依存性が低く>、<健康への害が少ない>とか、医療での有用性までしばしば語られていますし、一面では真実だと思います。しかし、依存性がないわけでもなく、危険でないわけでもない。そのような主張をしているひとが一方では幻覚体験、サイケデリック体験を語っていますし、そういったものがアルコール依存症のように精神面を含めて人間を損なう<可能性が>がないなどとは到底いえない。

ただ、現状より危険な酒や煙草が合法であること、現在のように犯罪組織を通じて入手することが、犯罪組織の資金源になるだけでなく、より危険なドラッグへのステップとなっていることなどを考えれば、闇雲に規制するよりはきちんと社会で管理した方がメリットがあるのではないかと思います。よくいわれているように<マリファナぐらいなら>と軽い気持ちで手を出し、結果的に犯罪組織と係わりを持ち、シリアスなドラッグに溺れたり犯罪に手を染めたり、というモデルがあるのなら、逆にそういったやり方でなければその流れを断ち切れないのではないでしょうか。

基本的には大麻を産業化すること。燃料、食料、衣服などへの利用と共に、マリファナも主に医療目的で国がきちんと管理して販売させる。栽培が容易なため、密栽培が行われるのは避けられないでしょうが、そこは煙草や酒と同様の規制方法でも問題はないのではないでしょうか。<マリファナ税>を創設すれば、煙草ほどではないにしても国の財源として莫迦にできない規模に育つ可能性も高いと思います

個人的にはマリファナが合法化したとしても、積極的に吸引したいとは思わないですし、社会的にも上述したようにアルコール依存や煙草依存と同様に問題化することも避けられないでしょう。いいこと尽くめとは決していいません。しかし、日本では本来自生しているような植物を(しかも有効に利用できる)ここまでがんじがらめに規制する理由は本来ないのではないでしょうか。少なくとも煙草にリプレイスする産業としては潰しも利くし、将来性もあると思います。


何度も書くように、僕自身は煙草やアルコールの摂取習慣もありませんし、依存症のひとの姿も見ているので、コーヒーチョコレートなど含めて決してこの類の依存性の高いものにいい感情は持っていません。しかし、できるだけニュートラルに見てより増しな解決策を考えてみた積りです。

できればこれを読んでいただいた方のご意見も、是非聞かせていただきたいです。