逆指名とは何だったのか

いやー、2年連続六分の一引き当て、興奮しました!喜びの瞬間、渡辺監督少年のような純な顔になってましたね。

大石投手、映像で見ると、素人目にも、球速は表示ほど速いという感じはしないのですが、回転が少なく重そうな直球が低めに集まっていて、これはバットに当てても遠くに飛ばすのは難しそうな。今のライオンズにはいないようなタイプで、将来的に先発で行くにしても抑えで行くにしても、期待が高まります。


2位氏名の牧田投手も、ホークスが攝津に代わるセットアッパーとして指名を検討していると報道されたときから、こういう実力派投手をライオンズが獲らないかな~、と期待していただけに、嬉しいです。この投手もライオンズに欠けていたサブマリンで、かつての松沼博久投手の系譜を継いで活躍して欲しいです。

二投手とも、綺麗なピッチングフォーム、伸びのあるストレート、先発向きの投手を好む傾向がある近年のライオンズの指名としては異色でもあり、また久々に一年目から戦力になってくれそうな投手で、ワクワクしてきます。

三位指名の秋山選手も、強肩、守備範囲の広い選手が欠けているライオンズの外野陣にはうってつけの補強で、順調にいけば1年目から一軍に割って入ってこれそうです。こうしてみるとライオンズには珍しく、上位で即戦力を期待できる選手をきっちり確保できた上、四位以下にはライオンズらしい将来性重視の指名で、将来が楽しみな人材を指名していて、大満足のドラフト会議だったと思います。欲をいえばもう一、二人即戦力になれそうな投手が欲しかったのですが、噂のあった南昌輝投手などは先に他球団に指名されてしまいましたし、これは仕方がないでしょう。


しかし、近年のドラフトでは、有力選手が新聞報道などとは異なる球団に結果的に指名されることも多く、各球団にうまく戦力が散らばる傾向になってきていて、こういうのを見てると逆指名って何だったんだろう、と思ってしまいますね。今の制度下なら、上原投手・二岡選手、和田・新垣投手などの両獲りなどまずありえませんし、逆に当時の制度下なら今回澤村・大石投手両方獲られるなんてことが発生して知れない。1位指名、競合必至のクラスの選手を100%確保できるなんて、逆指名制度がどれだけドラフト会議の主旨に反する無茶苦茶なものだったのか、今考えるとぞっとします。あの時代、ホークスやジャイアンツだけが得をして、他の球団がどれだけ苦労したことか。大卒・社会人中心だった当時とは打って変わって高校生や育成選手を重視しはじめたホークスやジャイアンツの現状を見れば、どれだけあの制度の恩恵を受けていたかははっきりしています。

今のパ・リーグの盛り上がりを見るにつけ、狭い日本では自由競争での極端な戦力格差が生まれることはリーグの存続自体を危うくするものであり、やはり戦力を均一化する方向でのドラフト制度は必要不可欠だとつくづく思います。そんな流れの中、未だに不正すれすれの方法で選手を囲い込むジャイアンツのやり口はまったく許せません。それでも今年の澤村投手が単独指名できるなんてことは不可解なんてレベルの話ではありませんし、親会社の傘下の新聞で堂々ジャイアンツ以外は大リーグ、と他球団を拒否していたなんて<推測>を掲載、<逆指名>報道までさせている訳です。本来ならこういったやり口にはドラフト会議の指名権剥奪くらいの罰則を設けてもいいくらいなのではないかと思いますが、何故か未だにプロ野球界にはジャイアンツへの遠慮がある。もはや「巨人なくしてプロ野球の存続なし」なんて状態ではないのに、です。

ライオンズも逆指名制度下では苦心のドラフト戦略を強いられ、特に投手陣は高卒選手の松坂投手や涌井投手の活躍がなければまったく立ち行かなくなっていたかも知れない位です。その年のナンバーワンからナンバーファイブくらいまでの評価の選手を一部の球団で独占されていればそれは<お荷物球団>化するところも出てくるし、存続も危うくなる。引いてはリーグ全体の存続にまで危険が及ぶ。選手に将来の後輩たちの受け皿縮小の心配までしろというのは酷にしても、盟主を自認する球団のジャイアンツにそういう大局的な視点がない(そもそもあそこは球団数なんか減っても平気という考えですが)。

個人的にはこういう球団はやり方を改めないのなら消えてくれたほうがいい位に思います。選手の権利であるFAへの口出しといい、本当に何様なのかと。せめてパ・リーグの球団には、こういう恫喝ばかりする輩には屈しない気概を見せていって欲しいです。