カーテン

 『この夜にさよなら』、『誘惑』、『マイ・ジェネレーション』。この3枚のアルバムはあんまりちゃんと聴いたことがありません。『マイ・ジェネレーション』に至ってはいまだCDでちゃんと買ったことがない(^^;。LPなぜか持ってますけどね。

 僕の長年のリサーチによるとw、大体この3枚が70's甲斐バンドの代表作らしい。カラオケにも一番入ってるのはこの時期の曲だ。現在に至るまでライヴで一番よく取り上げられるのもこの辺り。『誘惑』だけでも、「カーテン」、「翼あるもの」、「嵐の季節」、「シネマ・クラブ」、「LADY」と、ライブで盛り上る曲がかなりありますね。

 その分逆に聴かない。ライヴでかっこいい曲が多いものだから、殆どライヴ盤でだけ聴いていて、スタジオ盤のアレンジを覚えてない曲もあるほどです(というか殆ど)。

 「カーテン」もその一曲。この曲は常に演奏されるわけではないけれど、息が長く、ラインナップに入るときは常に新しい解釈で提示される、その時の甲斐よしひろのモードを反映する曲だと思う。さて、そのオリジナルヴァージョンは、というと、これも結構いい。甲斐バンド佐藤剛というスタッフが加わり、彼の助言で甲斐よしひろが歌詞の中での代名詞を「僕」から「俺」を多用するように変わっていったのはこの辺りからでしょうか。

 ドアを閉めたら ロックをして
 さあおいで ここに来て
 窓辺に寄らず 電話は切って
 さあおいで ここに来て

 (中略)

 閉ざしたままの カーテンを拡げ
 俺を迎えて さあ おくれ

 視点の誘惑される側から誘惑者への180度の変化がこの曲を聴いただけではっきりとわかります。「カーテン」が1曲目に来るのはライヴでの感覚では奇妙な感じですが、明確な意図が存在することがわかる。色々因縁があって変更になったこのアルバムのオリジナルジャケットの、地中から出てきた手の先に蝶が止まっているという構図も、幼年期からの脱皮というこのアルバムの変化を示したものに思えます。

 「カーテン」スタジオ盤はライヴヴァージョンよりも短いアレンジですが、その分聴き所が凝縮されている。ここでも「はぁ~」という吐息が登場するが、明らかにセックス(性)を感じさせるなまめかしさ。そろそろ18禁になってきましたw。

 曲の最後辺りの「あ”ーあ”あ”あ”ーあ”ー」という喚き声はMuddy Watersの'Manish Boy'を意識したものか。そう考えると、ライヴヴァージョンでは薄れているこの曲本来の位置づけがわかってくるような気がします。

Now I'ma man, Said M-A-N (Ahhhh!)
No BOY ! 'n' CHILD nnn
That spell Manish Boy (Ahhhh!)
A man a man                  'Manish Boy'