キャン、キャン、うるさいぞ!この○マ!

 どうも日本人というのは高い声を好む傾向が強いようだ。ポップミュージックなどは典型的で、90年代後半ごろまではやたらとバブルのように全体的にキーが高くなっていっていた。華原朋美なんてもう笑えるほどに作品ごとに超音波に近づいていった。

 勿論、アメリカにも7オクターブを操る魔女、マライア・キャリーなんかがいたし、英国圏でもすっと伸びた裏声による美しいハーモニーは好まれる。そういった上のほうまできちんとノートある高音を唄いこなせる歌い手、豊かな裏声の持ち主というのは日本には殆どいない。むしろ、無理無理で一杯一杯、苦しげに搾り出す金切音に近い声の方が好まれるようである。多分何も知らないアメリカ人や英国人が聴いたら、こんな音楽を聴く日本人は精神的に不安定なのではないか、嗜虐的な性向があるのではないか、とでも疑われそうだが、やっぱりそういった声を好むには、日本人なりの文化的な理屈があるのではないか、とも思える。

 日本人の高い声(というより金切声)好きは現代に限ったことでなく、能や狂言や、短歌の詠み方もそうだし、大体国家として採用されている「君が代」が裏声でなければ歌えない。昔の日本人は中高音が余り聴き取れなかったのではないかという説さえあったような気がするが、西洋音楽的な常識では恐らく不快な音でしかないような高音が嗜好されたというのは、環境的な要因も大きいような気がする。

 西洋は石の文化で、日本は木の文化である、とはよく言われるが、石の建造物内部の音がキンキンと反響しやすく、木造では柔らかくする効果があるようだ。更に、乾いた空気の環境では音がどこまでも通りやすいが、日本のように湿気の多い地域が多いと、そんなに通らない。詰り、金切音に近いような音でも、それを上手く和らげる環境だったのではないか。

 ・・・・ここまで確証有り気に書いてきてなんですが、僕は家庭科も音楽も得意ではなかったので、もしかしたら根本的に間違った推論をしてしまっているかも知れません(^^;。間違いの指摘、何か面白い説などありましたら教えて下さい(^^。