星の降るFerris Wheel

 レイ・ブラッドベリの小説に、『何かが道をやってくる』というのがあるが、その中に出てくる移動遊園地のメリーゴーラウンドは、普通に乗ると年を取っていき、逆に回転させると若返っていく。この曲はどこかそれを思い出させる。

 遊園地は過去と未来の踊り場。Ferris Wheel(大観覧車)は、ふたりを出会った頃に引き戻すが、もう彼らを乗せたまま宙に停まったりはしない。

 それはかれらが「ふたりの時計」を止めることを望まないからだ。かつては車輪を停め、孤空に吊り下げておかなければ脆く儚くなってしまうように見えた愛。今、かれらは傷つき傷つけながらも前に進むことが愛を止めない道であると知っている。ふたりの心が停まっていた観覧車を動かし、星空と同じ鼓動でゆっくりとゴンドラは日常へとかれらを軟着陸させる。