スウィート・スムース・ステイトメント

 昔々、甲斐よしひろは、確か『GUTS』時のインタヴューで、「(『カオス』、『エゴイスト』の頃というのは)自分的に低調な時期で、「スウィート・スムース・ステイトメント」なんか、ヴァースを半分にしてれば名曲だったと思うけど、それができなかった」というようなことを語っておりました。

 確かにその頃のモードとしては重厚長大な第一期ソロの路線は全く相容れないものだったのですが、今でも甲斐さん自身がこの時代の自分の作品に否定的かというと、結構変わってきている気もするのです。

 まあ、「アコギなキラーギグ」で演ったから、というわけではないのですが、『10 STORIES』の選曲を見ても、スパン、スパンとギリギリまで引き締まった詞と音で攻めるスタイルより、甲斐さんの意識が、わかりやすい詞で、ゆるやかな音で、ストーリーテリングしていきたい、という方向に向かっている感じがします。

 4月からのツアーでは多分この曲は演らないと思いますが、アコースティック・セットも多分あるということで、こういう執拗に同じテーマを歌い込みながらテンションを高めていく曲も取り上げてくれるんじゃないでしょうか。「i.l.y.v.m.」とか…。KAIFIVE解散以降ははソロ以降の曲を知らない人が多いということで、バンド時代に偏った選曲が多いのですが、今回はソロ以降の曲中心ということで、あまり知らないひとにも伝わっていく、詞を大事にした曲中心になるといいかな、と思います。ソロ以降にはそういった隠れた名バラッドが沢山ありますから。