栗本薫

高校時代、図書館に置いてあった著作を『翼あるもの』というタイトルに惹かれて開いたときに、立派なホモ小説だった衝撃は今も忘れません。

この作家に関する思い出はこの程度しかないのですが、ジェネレーションとしては、まぁ僕の十代ど真ん中のラノベ前夜、田中芳樹とか、(富野由悠季とか) まだそれ系の読者に支持されていた人たちがブンガクっぽい顔をしていた時代のメインストリームの一人だったお方。作者までが堂々と<オタク化><サブカル化>して、受け手とズルズルベッタリの共生関係が構築される前の時代、の思い出につながっており、何となく感慨深いです。何か堕落しちゃったなぁ、って感じ。もっといい現在もあり得たのではないかと思えるのですが。

はっきりいって僕は、萌えやらやおいやらの概念の中に含まれる要素自体は否定しませんが、現象としてのそれは完全にいき方を間違っていると思います。そんなものを国の売りにしようなんてそれこそ恥もいいとこですね。