甲斐よしひろソロツアー決定に想う

昨年の甲斐バンドツアー終了後はスペシャルイベントばかりだったので、1年半以上振りの通常ツアーということになる。

僕個人としては一昨年の甲斐バンド福岡公演以降観に行っていないので、2年近く開くことになる。これは多分2001年にライブを観に行くのを再開して以来最長のブランクになると思う。

それだけ福岡をスキップされたせいもあってか(照和は別問題)、ここ1年は甲斐への興味がかなり薄れている。正直、醒めてしまったといってもいいほど、この間の甲斐の活動には魅力が感じられなかった。

別に今更甲斐に”復活”を期待する必要はないのではないか、とも思うようになってきた。大体、普通に好きなレベルの、もっと客観的に見ることのできるアーティストであれば、20代、30代の頃同様のパフォーマンスを50、60になってまで求めようとは思わない。レッド・ツェッペリンが復活したけど衰えたね~、と聞けば、それは若い頃と同じ瞬発力は再現不能だろうと思うし、ストーンズが今も進化し続けているなんて思わない。ただ、変化したのだ。

80年代後半、90年代前半の甲斐を今更求めても、儚い話なのだろう。

昔甲斐を好きだった人が、今の甲斐を好きである義務はない。ビートルズのファンが今のポール・マッカートニーの活動を追いかけ続けなければならないわけではない。僕はここ数年の甲斐バンドの音楽にさして興味がなかった。それだけのことなのだ。そういった現実を認めてしまうのは寂しいことでもあるけれど。

今回、ソロでのツアーが発表されたのは少々驚きだった。今の甲斐には、ソロでやるモチベーションはもうないのではないかとさえ感じていたのだ。

10Stories2ツアーまでのソロでの甲斐は、毎回何らかのテーマを持って、少なくともセットリストの組み方位は前回とは違うことをやって行こうという姿勢を持っていた。甲斐バンドにはそれが感じられなかったのが醒めた理由のひとつでもあったのだけれど、敢えてバンドでないということは、今回甲斐はそういった挑戦をする意欲があるということなのだろうか。

正直なところ、内容については何も言及されていない今の段階では半信半疑なのだけれど、これからアルバムをリリースしてのプロモーションツアーになる可能性は非常に低いだろうし、新曲なしでここ数年と同じヒットパレード路線でやるというのはさすがにどうなのよ、という意識は本人にもあるだろう。

2011年にもなって新しいモードの甲斐を見ることができるのか。もう十分にキャリアを積んだアーティストである甲斐の新たな変化を受け入れることが僕にはできるのか。やっぱり僕はそれを見届け、体験してみたい。