甲斐バンド 全曲レビュー その9 「アップルパイ」


原曲は勿論大森さんが唄っています(^^。

いつまでもネタにされ続ける曲ですがw、唄っている大森信和含めそれだけ愛されているということでしょう。CD手元にないんで、ネットでチェックしたら、作詞作曲甲斐よしひろになってますが、合ってるんでしょうか?大森さん自身の曲でもないのに唄わせたんかい、オニやな、って感じもしますがwww。大森さんのすごい誠実そうな声の方が歌のお兄さんっぽくって合ってることは確かですね。

甲斐よしひろ曰く童謡ソングとのことですが、曲自体は跳ねまくりであんまり童謡ぽっくはないかな・・・・。まぁ曲も詞も甲斐よしひろらしいですよね。何度も書きますが、「薄紫色の雲が~」とか、「水色の夏の中で~」みたいなちょっと日本語っぽくない一種独特な言語感覚は最近作にも通低するところだと思います(甲斐バンド(『目線を上げろ』の「世界で一番甘いメロディー」の「あの大きな窓は僕らが流れ星を~」とか)。

甲斐よしひろの書く詞って、本質的には少女漫画的というか、萩尾望都にも通ずる、生臭さが感じられない世界観。どんなにハードボイルドっぽいことを書こうとしても、どこまでも少年っぽい感性がある。上っ面とか、実感がこもってないという云い方をされればそうなのかもしれないけれど、僕にはそれよりも小中学生向け海外翻訳小説に夢中な、少年の眼差し、少年の目を通した世界はこうなんだろうなぁ、という感じがする。その少年は実際の甲斐よしひろの少年時代の投影ではなく、いわゆる甲斐よしひろの中の<非実在少年>なのかもしれないですけど。

そういや、この曲聴くといつも萩尾望都の初期の作品を思い出しますね。「ルルとミミ」とか。「テレフォン・ノイローゼ」の「出会ってひと月め どれほど愛してるって訊くと 君は四週間分よ って そっけなく」って歌詞は間違いなく「10月の少女たち」っていうオムニバス短編の影響を受けてると勝手に信じてますがw。