甲斐バンド 全曲レビュー その8 「放課後の並木道」

触りのところが甲斐バンド最新作『目線を上げろ』収録の「冬の理由」を髣髴とさせる落ち着いたいい雰囲気の曲調、と、思ったら、いきなりアップテンポの本編突入。「翼あるもの」顔負けの転調だw。

後に脱退したベースの長岡和弘が、1994年ごろに、「翼あるもの」の大サビに至るレッド・ツェッペリン風転調を聴いて、こんなのもありなんだ、と慣例に囚われないことの重要さを知り、後のプロデュース業でも役立った、というような回想をしていたが、大胆な転調、サビへのつなぎは甲斐よしひろの持ち味のひとつでもあるだろう。

「放課後の並木道」も曲だけ聴くと妙にハッピーな感じですが、、このアルバムのご多分に漏れずw、お別れの唄です。「時計台の鐘は一度だけ鳴り響いた」というフレーズが、一番では恋の喜びの象徴として唄われ、状況の変化と共に2番では哀しみの象徴として唄われるのは、ちょっとした捻りですけど、何でいつも判で押したように一番と二番とほとんど同じサビを唄わないといけないんだろう、と常日頃思っている僕のような偏屈ものにとっては、あ、そういうわけで同じなのね、と納得はできますね。ちょこっとだけ感心w。そもそも唄のサビという仕掛け自体そういう効果を狙って生まれてきたものなんでしょうけど。