甲斐バンド 全曲レビュー 『らいむらいと』まとめ その1 ~甲斐よしひろ詩集「思春期」




ここで、『らいむらいと』というアルバムについて、アマの甲斐よしひろというソロミュージシャンと、プロデビューした甲斐バンドというバンドの意味合いの違いを軸に考察していこうと思う。

まずは、資料編。

「か・さ・ぶ・た」にも図版が収録されているが、甲斐バンドがデビューする前に、甲斐よしひろがアマチュア時代にやっていた曲の詞を集めた詩集が編集された。その意義は勿論資料として以上のものがあると思うが、まずは、単純にその中から『らいむらいと』収録曲と、それ以外の後に音源としてリリースされたものを見てみたいと思う。ただ、タイトルの変わっているものなどは、「か・さ・ぶ・た」や、甲斐バンド初期に出た楽譜集で以前確認した記憶で書いているが、現在それが手元にないので、覚え違いや抜けているものもあるかもしれない。もっと詳しい情報や正しい情報をご存知の方は、是非教えていただければ幸いです。


赤の太字で書いたのが『らいむらいと』収録曲。青の太字がその後日の目を見た曲である。

・恋時雨
・春のブルース
・ヘッドホーン
・No.1のバラード
・僕の好きな散歩道
・昔話
・帰り道
・ランチ・タイム
・ガタゴト列車
・スゥイート・キャンディ *『この夜にさよなら』収録曲の原曲?
・便り *確か『ガラスの動物園』収録の「七月の便り」の原曲
・絵日記 *『英雄と悪漢』収録
・悲しき讃歌
・白い夏 *確か『ガラスの動物園』収録の「黒い夏」原曲
・ランデブー *後に有吉ジュンに提供。甲斐よしひろによるライヴヴァージョンがMY NAME IS KAI TOURで配布された。
・わからずじまいで
・あの頃
・バス通り
・吟遊詩人の唄
・四季
・陽射し
・ピーターパン
・君が好き
・師走
・京都
・雪どけ街
・魔女の季節
・ポップ・コーンをほおばって

こうしてみると、この資料からアマチュア時代のナンバーとして確認できる『らいむらいと』収録曲は以下の6曲である。

・恋時雨
・No.1のバラード
・あの頃
・バス通り
・吟遊詩人の唄
・魔女の季節

詩集のタイトルにもなっている「思春期」がないのは意外な気がするが、『翼あるもの』というアルバムに「翼あるもの」を入れなかったりする甲斐よしひろらしい一面のようにも思える。しかし、これではこの資料からだけではこの曲を含めた以下の5曲がアマチュア時代の作品とは断定できないものということで残る。

・悪魔に狂って
・週末
・放課後の並木道
・アップルパイ
・思春期

この中でバンドのために特につくったといわれて、そうかもしれないと納得できるのは「悪魔に狂って」くらいなのでちょっと困ってしまうが、とりあえず判断は保留。


次回、この資料を参考に、詞、アレンジ両面から、ソロでプロ契約を勝ち取りながら、バンドとしてプロデビューするという、おそらく現在に至るまで音楽業界でも稀有な経緯の意味合いを考えてみよう。