甲斐バンド 全曲レビュー その11 「吟遊詩人の唄」

曲冒頭に入っている「ざぁーーー」っていう音、歓声のつもりなんでしょうけど、なんか雨音みたいw。

ご存知の通り、この曲はカヴァー。原曲は、Leo Sayer 'One Man Band'。こんだけ生きてきて今日まで原曲を聴いたことなかったんですが、Leo Sayerでぐぐると、'One Man Band'が検索候補に出てくるので、有名な曲なんでしょう。原曲はウェストコーストっぽい(レオ・セイヤーは英国人ですが)乾いた感覚のちょっと大人なポップスで、甲斐よしひろの好みな感じ。

後年、小室哲哉と組んだときに、甲斐さんはしきりとアダルトオリエンテッドロック、アダルトオリエンテッドロックとのたもうておらっしゃったが、意外と本来やりたかったのは最初からウェストコースト系のカレッジチャートに乗ってヒットするようなタイプのロックだったのかも知れない。少なくとも、アマ時代の主戦場であった照和の客層がそもそもカレッジチャートの主要リスナー層と年代的に被っていたのだろうから、音楽傾向はある種必然的にそうだったろうと考えられる。

しかし、こういう曲が持ち歌であったことは、甲斐よしひろがアマでギター一本でやってた時代から、非常に盛り上げ上手であり、またそれを意識してやっていたということを感じさせます。照和でやっていた当時は1時間の持ち時間をオーバーして延々トークを続けて演奏した曲が4曲だけというさだまさし真っ青のエピソードもあり、寡黙な甲斐バンド中期までよりも、現在の姿のほうが残念ながら素に近いのでしょうw。

と、いうよりも、アマチュア時代から将来プロでやっていくことを考えて、積極的に客を乗せる、アジテイターとして立ち振る舞おうと意識的にやっていた姿がこういうエピソードからはうかがえます。


うむぅ、人気曲になると変に客観的になって文章になかなか内容に関する思い入れが出にくいなぁ・・・・(^^;。この曲は甲斐さんの詞のセンスのよさが出てますよね。「このお茶はとっても とっても あったかい ずっと前に すぎていった 君のように」あたりとか好きです。後に岩崎宏美がカヴァーしたのも甲斐ヴァージョンだし、真島昌利が「ダイナマイトが150t」カヴァーしたのも甲斐ヴァージョンらしいです。「OH MY LOVE」の日本語詞のセンスもいいなぁ(原曲はシンプルすぎる)。必ず叙情性があって耳にひっかかるフレーズがあるんですよね。