#詩

公会堂で、また貴方と一緒になった師よ、僕は貴方が嫌いだったあの頃貴方はいつも僕らを打ちのめしたそれは正しさによってではない僕らが子供で、貴方がたが大人であるただそれだけの事で僕らの声を奪い足を縛り眼を覆い疑問を口にする事すら封じた年若いけ…

小島

その静かな夏の朝小島で 軋み声を上げる頭蓋骨をおさえながら 魂を救ってくれた友人たちを撃ち殺したのは俺だった かれらひとりひとりの名前も顔も覚えてる ある者は明日俺とビールを呑み ある女とは来年デートをし 他の何人かは老年の楽しみを共にした どう…

六月の夜

吹き渡る風が木枝を奏で コオロギが唄い応じる夜半過ぎ 初夏の暗闇が沁み込んでくる 冬の漆黒の夜よりもずっと昏い 逃れ難い予兆の闇が 定められた悲嘆 父も妻も子も猫も歴史も やがてすべては抗いようもなく私の身体を過ぎゆく それは遥か昔老詩人がミスロ…

気づかないふりをしている

今日も僕たちは気づかないふりで日常を演じてる 去年のキミがきけばウソみたいな話だと思うだろうけど 馴れの問題さ、と頭の中の何かが囁く ごめんね子供たち 君たちに残す未来はありません 現実が侵される 言葉が記号が置き換わる ハレルヤ ハレクリシュナ …

夜会

外では人達の怒号が鳴り響き 盾と矛が煌めく 血と汗と埃が舞う まひるの太陽を烟らす すべての父は狼とのとっ組み合いに敗れ 膝から崩れ落ちる ワタリ鴉は英雄たちの眼球と脳髄をせせり出す 大蛇は痛みに耐えかねて ぎりぎりと大地を締めつける ひび割れたそ…

シチュー

僕はきみにとっての過程にすぎない どうしてだろう ことばがことこととふきこぼれるようだ あったかく煮え立てたシチュー きみが混ぜ込んだのは忘れ薬? いままでの僕は きみを前にすると呑み込まれる前の鼠のよう いまシチューはことことと煮零れて 僕を固…