EQとアッテネーターの有効性

 音決めにジャズのアルバムばかりを使っていたせいか気づかなかったのですが、昨夜久々にアナログとRadioheadの"Amnesiac"を聴いてみたらシステムの鳴り方が激変していたので驚きました。

 以前はどうしても中音量以下では低域の量感が少なく感じられる音だったのですが、その霞のような印象はどこへやら、図太く腰の座った鳴り方に様変わりしています。ライヴのPAの音響に近い感じです。そこでヤン車のようなボーボーの低音になっていれば首でも括りたくなったでしょうがw、量感が増えた割には音が潰れておらず、低域の中に含まれる細かいニュアンスも結構聴き取れます。

 アナログでは元々上と下の音をコンプレスしてあるせいか、低域がしゃくれたような変な音になってしまって、ここはアナログ向けにEQの調整を別にしないといけないでしょうね。ただ、以前プライマーのフォノアンプを導入したときは<CDみたいな音>と感じたのが、アナログっぽい音に様変わりしていて、こちらもここまで変わるのか!?という感じです。

 これがオデオ的に「音が良くなった」といえるかと問われれば返答に窮するのですが、音楽としては悪い印象ではないことは確かです。なによりバイアンプ、EQ、アッテネータと導入してきたのは、オデオ的な音の良さを求めてのことではありません。自分が楽しめる音を求めてのことだったのですから、その意味ではひとつ壁を破ったといえるような気がします。

 短期間でここまで変化を得られたのは、やはりEQ、アッテネータを入れた効果が大きいと思います。現在の音はパワーアンプのフォルテが素性を発揮しつつあるだけとも見ることができるのですが、導入した当初は、まったく音をはいてくれなかったのに、電源、ケーブル関係の環境はその当時とほとんど変わらないにもかかわらず、ここまで音を出してくれるようになったのは、EQとアッテネータによる音のバランス調整の助けによるところが大きいでしょう(EQとバランス接続できたことにより、優秀なバランス回路を活かせるようになったことも大きいと思います)。

 なにより重要なのは、積極的にカットアンドトライを行うことができるようになった、ということだと思います。EQやアッテネータは、音質的には不利な面があることも否めませんが、このようにユーザーが自律的な調整を加えられる余地のないシステムは、一度構成を決めてしまえばバランスが崩れるのを恐れて容易に手を加えることができなくなってしまう可能性もありますし、何よりよほどの経験者でなければ、音決めするまでに高価なケーブルやアクセサリーを試し、膨大な出費を強いられるということすら考えられます。俺は金持ちではありませんから、いくら音質的には有利だとしても、そのような方法は非現実的に感じます。

 多分LINNのフルセットとかで聴いている人からすれば、俺のシステムの音はゴミみたいなものなんでしょうが、俺自身が楽しめる音は自分のシステムの方だと胸を張っていえるようになったと思います(勿論まだまだ満足はしていませんが)。俺がこれまでオデオに投じたお金なんて、俺にとっては超大金ですが、ハイエンドメーカーのケーブル一本だって買えない金額です。それでも幸せ度はきっとハイエンド機器を揃えてその後のセッティングに苦しんでいる人より高いんじゃないかと思うので、安上がりでいいんじゃないかとwww。

 水木しげるじゃないけれど、結局本当の幸せっていうのは他人との比較を気にすることではなく、自分が楽しめるかどうかによって得られるのではないでしょうか。